令和8年2月定例会(第8号) 本文 2026-03-10

◯二十番(小木曽史人君)
 私からは、歳出第九款教育・スポーツ費第一項教育総務費第四目学校教育指導費のうち、いじめをキーワードとして計上された予算関係について順次質問をしていきたいと思います。
 まずは、小中学校におけるスクールカウンセラー設置事業についてです。
 ここ数年、いじめ問題は全国的に深刻さを増しており、その実態は、単なる生徒同士のトラブルを超え、子供の心身の健康や学習環境を著しく侵害する重要な教育課題となっております。
 文部科学省が毎年行っている児童生徒の問題行動、不登校児童生徒指導上の諸課題に関する調査によると、令和六年度の小中高、そして特別支援学校における全国のいじめ認知件数は約七十七万件、いじめ重大事態──以下、重大事態と言いますけれども──その件数も千四百五件と過去最多となっており、愛知県におけるそれぞれの件数も増加傾向にあります。
 認知件数の増加は、学校現場における積極的認知の努力の結果とも評価できますが、その一方で、重大な被害を把握する以前にいじめとして認知していたものは、先ほど述べた重大事態千四百五件のうち、九百十五件にとどまっているという現実もあります。
 いじめの対応については、国のいじめ防止対策推進法及びいじめの防止等のための基本的な方針に基づき取組が進められており、一昨年八月には、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインが、円滑かつ適切な重大事態調査の実施及びいじめを受けた児童生徒や保護者等に寄り添った対応を促す観点から、改訂をされました。
 そして、学校には、改めていじめの未然防止、積極的な認知、早期発見、早期対応、継続的な見守り等の組織的対応を行うこと、そして、心理や福祉の専門家を活用することが求められており、その中核を担うのがスクールカウンセラーであります。
 現在、本県の中学校には週一回程度、小学校には月一回程度、スクールカウンセラーが配置され、中学校と同一学区内の小学校には同じカウンセラーを配置し、小中九年間を通じて一貫した相談ができるような工夫もされていると伺っております。
 しかしながら、いじめ事案は突発的に発生し、初動対応が極めて重要であるにもかかわらず、事案発生当日にスクールカウンセラーが学校に不在であるケースも少なくありません。
 こうした場合、被害児童生徒への即時の心理的支援や自殺リスクの評価が十分に行えない可能性があり、また、重大事態に発展した場合には、継続的かつ専門的なトラウマケアが求められますが、週一回配置では、支援が断続的となる課題があるとも指摘をされているところです。
 さらに、いじめ対応は、被害者側支援だけで完結するものではありません。加害児童生徒に対する背景要因の分析、再発防止の心理教育、保護者支援、教職員へのコンサルテーションなど、多面的な関与が必要であります。
 しかし、現状では、スクールカウンセラーの関与が個別面談に限定され、学校のいじめ対策組織への参画が形式的にとどまる場合もあるとも聞いております。
 本県では、不登校児童生徒数も増加傾向にあり、いじめとの関連が疑われるケースも存在します。
 いじめが表面化しないまま不登校に至る、いわゆる潜在的いじめへの対応には、学級集団のアセスメントや予防的心理教育といった専門的な関与が不可欠ですが、現行の配置時間では十分とは言い難い状況とも聞いております。
 スクールカウンセラーは、単なる相談員ではなく、学校全体の心理的安全性を支える専門職であり、被害児童の心の回復、加害児童の再発防止、教職員の対応力向上、そして重大事態の未然防止において、その役割は極めて重要であるということです。
 こうした中、本県の来年度当初予算案では、小中学校へのスクールカウンセラー設置事業費として七億六千五十七万五千円が計上、配置時間総数についても、今年度予算と比較して六千百八十時間増の十二万八千四時間とされ、支援体制の拡充が図られております。
 また、今年度は、不登校児童生徒が多い学校に重点配置する方針が示されておりますが、来年度はそれに加え、いじめ解消に向けた取組を進めている学校に重点配置するとお聞きをしております。
 そこでお伺いをいたします。
 来年度のスクールカウンセラー配置において、いじめ解消に向けた取組を進めている学校へ重点配置することとした背景には、どのような現状と課題があるのか、また、そのことによってどのような効果を期待しているのか、さらに、重点配置の具体的な考え方についてお聞かせください。
 冒頭申し上げましたが、本来であれば、いじめ認知件数が多いイコールいじめが多くトラブルが絶えない学校とのイメージが持たれやすいですが、そうではなく、いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組を進めている学校は、極めて肯定的に評価されるべきと文科省も明確に発信をしております。
 であるならば、今回、その評価されるべき学校への重点配置ということで、これまでしっかり取り組んできた学校がさらに取組を進めやすくなり、いじめ認知件数及び解消に向けた取組件数が少ない学校は、その支援の中核を担うスクールカウンセラーが重点配置されないため、ややもすれば、さらにいじめが潜在化してしまうという矛盾が生じることにもなります。
 そこで、いじめの認知件数やいじめ解消に向けた取組件数が少ない学校に対しては、どのように働きかけていくつもりなのか、お聞かせください。
 いじめを重大化させないためには、いじめの未然防止及び早期発見、早期対応に取り組むことが極めて重要であることは、先ほど申し上げましたとおりです。あわせて、突発的な重大事態発生時でも、速やかに調査を開始できるよう、平時から備えておくことが求められております。
 先ほど申し上げた改訂いじめの重大事態の調査に関するガイドラインでは、重大事態、つまりいじめにより重大な被害が生じた疑いまたはいじめにより不登校を余儀なくされている疑いがあれば、これらの疑いが生じた段階から学校の設置者または学校は、調査に向けて迅速に動き出さなければならないこと、そしてその調査は当該重大事態に係る事実関係を可能な限り明らかにし、児童生徒の心のケアや必要な支援等の対処及び同種の事態の再発防止策を講じるためのものであることとされております。
 今回提案されている県立学校における予算の中で、いじめ防止対策推進費として三百八十八万一千円が計上されておりますが、県条例に基づく愛知県いじめ問題対策委員会の経費が今年度よりも三百万円ほど上乗せされているとお聞きをしております。
 そこでお伺いをいたします。
 愛知県いじめ問題対策委員会の設置趣旨と役割及び来年度予算で上乗せをして予算計上された理由をお聞かせください。
 また、いじめ防止対策推進費の中で、いじめ対応支援チームの予算も計上されていますが、あわせて、このチームが県内のいじめ問題にどのように関わっているのか、これまでの活動実績と今後の県下学校への周知の考え方をお聞かせください。

◯教育長(川原馨君)
 初めに、いじめの解消に向けたスクールカウンセラーの重点配置についてお答えいたします。
 本県におけるいじめの認知件数は毎年増加し、五年前の一・七倍となっており、学校は、いじめの解消に向けて、より積極的な取組が求められております。
 このような中、いじめの解消に向けた早期の対応ができるよう、対応中の案件が多い学校に、心理の専門家であるスクールカウンセラーを重点的に配置して、相談時間を増やすことにより、いじめの解消に向けた取組を加速していただけるよう支援してまいります。
 次に、いじめの認知や解消に向けた取組件数が少ない学校に対する働きかけについてお答えいたします。
 いじめについては、学校が事態をしっかりと把握して対応することが重要であると考えております。しかしながら、認知件数が少ない学校やゼロの学校もあり、そうした学校については、保護者等に対して、学校が把握している認知件数を知らせることで、実態とずれがないか再確認するよう、市町村教育委員会に促しております。
 また、いじめの解消に向けた取組件数の少ない学校は、いじめが継続していることに気づかず、解消したと判断しているケースも考えられます。
 そこで、県教育委員会では、いじめが解消したと判断しても、いじめに係る行為がやんでから三か月以上の見守り期間を設け、状況の注視を継続するよう、市町村教育委員会に対し指導しております。
 今後も市町村教育委員会と連携して、いじめの認知、解消に向けた取組を、学校が慎重かつ丁寧に実施できるよう支援してまいります。
 最後に、県のいじめ防止対策に関する二つの組織の役割や活用等についてお答えいたします。
 愛知県いじめ問題対策委員会は、いじめ防止対策推進法に基づき設置され、教育委員会の諮問に応じていじめ防止対策を審議するとともに、重大事態発生時には、事実関係の調査と再発防止に向けた提言を行う役割を担う機関でございます。
 来年度の予算につきましては、近年、いじめの事案が複雑化しており、十分な調査体制を確保する必要があることから、必要経費の増額を行ったものでございます。
 また、いじめ対応支援チームは、いじめに係る重大な事案が発生した場合や、重大な事案に発展するおそれがある場合に、学校に対して助言を行う弁護士や臨床心理士等から成るサポート組織でございます。
 近年の活動実績としては、二〇二三年度に三校、二〇二四年度に一校、二〇二五年度に二校に対して具体的な対応策を助言いたしました。
 いじめの重篤化を防止するには、初期対応が重要となるため、今後も県立学校及び市町村立学校の担当者が出席する会議等の場を通じて、いじめ対応支援チームの積極的な活用を周知してまいります。

◯二十番(小木曽史人君)
 答弁ありがとうございました。
 それでは、要望をいたします。
 スクールカウンセラーの設置ですが、実際、私の地元の小中学校では、児童生徒や保護者からの予約でいっぱいで、先生方が相談したくても児童生徒や保護者優先で時間が取れないとも伺っております。
 ぜひ予算計上された配置時間の確保、適正な人員配置にしっかりと努めていただきたいというふうに思います。
 愛知県いじめ問題対策委員会の予算増については、県立高校における重大事態発生時の十分な調査体制を確保する必要があるためのものと理解をしましたが、突発的ないじめ問題に対して、県教育委員会が逡巡することなく、速やかに調査できるようなこうした予算は、今後もできるだけ継続的に確保いただきたいというふうに思います。
 いじめ対応支援チームは、県下の公立小中高の全ての学校を対象に、いじめ事案に対して助言を行うサポート組織と答弁がありましたが、活動実績が決して多くないようにも感じます。
 意義あるものであれば、しっかり周知していただきたいですし、学校現場からあまり評価されていないのであれば、改めて課題を整理した上で、現場に沿ったサポート体制をぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 近年、SNSをきっかけとしたものや、部活動・交際関係を背景としたいじめが全国で相次いでおり、特に高校は、SNSに起因するいじめが増加、友人関係のトラブルと過小評価され、重大化するといった特徴に加え、いじめの被害生徒や保護者は、時間と心身をすり減らすいじめの解決よりは、退学、私立通信制等への転学という選択をしやすい傾向があり、事態が表面化しにくいという特徴もあると思います。
 県教育委員会、そして各県立高校には、いじめ重大事態を未然に防ぐため、こういった特徴と現状を把握しつつ、学校側の構え、早期把握と組織的対応ができる体制整備にしっかり取り組んでいただくよう要望し、質問を終わります。

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